訳文が気になる

大本泉さんの本を通読したので、トマス・エンゲル 『瘢痕』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を読み始める。

 

初めの方は、どうもすんなり読めない。北欧ミステリの作品では、こんな感じの出だしのものもあったような気はするが。

 

まだ、ほとんど読み進んでいないので、感想までもいかない。

 

p28 に

 

 ヘニングはコーヒーを愛している。

 

とあった。

 

コーヒーという名の女性のことならともかく、コーヒーという飲物について 「愛している」 とするのは如何なものだろう。

 

英語の love という動詞には、「好む」 とか 「好ましく思っている」 という意味があるけれど、それをそのまま 「愛している」 と日本語に持ち込むのは、どんなものか。

 

「ヘニングはコーヒーの愛飲家だ」 とか 「ヘニングはコーヒーを愛飲している」 くらいならともかく、「愛している」 なんて、日本語として、違和感を覚える。