芥川の好物

大本泉『作家のごちそう帖』(平凡社新書、2014)に、芥川龍之介の好物の話があった。こんな一節がある:

 

芥川は、あまり食事にこだわりがなかったようだ。ただし、

 

 主人は鰤の照焼が大好物で、それさえあれば他には何にもいらないというほどでした。

 

と、これは芥川の夫人の文さんの回想である。

 

そして、苦手だったのは "ねばねばした「とろろ」" だったという。

 

食物ではないが、芥川はヘビースモーカーであったようだ。

 

 芥川が亡くなる直前のことだが、佐藤春夫があった一晩のうちに、芥川は敷島という煙草を180本近く吸ったという。

 

とある。

 

芥川の「蜜柑」という作品は有名だが、

 

 芥川は酸味のある蜜柑が嫌いだった。

 

というのだから面白い。

 

概して果物は好きだったようで、"柿、乾葡萄、龍眼肉、バナナ" などと、"殊に無花果" を好んだという。

 

「龍眼肉」とはどんなものか知らないが、Wikipedia [リュウガン] を見ると

 

 ムクロジムクロジ属の常緑小高木またはその果実。

 

とあった。

 

食物の嗜好は甘党の方であったらしく、和菓子を好んだという。

 

 

* 他の作家の食に対する話題ももちろん出てくるのだが、本の返却期限が来ているので、あれこれメモするゆとりがない。今回はとりあえず芥川の例だけにとどめておく。