最後のひとひねり

中国を舞台にしたミステリといえば、ロバート・ファン・ヒューリックのディー判事シリーズが思い浮かぶ。

ヒューリックは故人だが、香港に陳浩基という現役のミステリ作家がいる。

 

数か月前に 『ディオゲネス変奏曲』 という短編集を読んでみたら、なかなか興味深かった。

犯行が詳細に描かれたり、トリックの種が明かされたりするので、それで 「なるほど」 と思ったら、その後、最後の最後に ヒネリ が入る。

ほとんど、どの作品にも。

一筋縄でない仕掛けになっているのが面白い。

 

 

日本で、タレントだかアイドルだかの女の子の住居を特定して、押しかけたんだか何だかしたファンの男が逮捕されるということがあったという。

ディオゲネス変奏曲』 におさめられた作品に登場する男が、それとよく似たことをしている。

その男は、その女の子が SNS に投稿したちょっとした写真をヒントに、実にいろいろな情報を引き出す。

そうしてある日、その女の帰宅前に住居に侵入して、女の帰りを待ち、犯行に及ぶのだが、単なるストーカーじみた男の犯行かと思いきや、ことはそう単純ではないのだ ・・・

そんな設定を、よくも思いついたものだと、感心するしかない。