清水義範 『身もフタもない日本文学史』 (PHP新書、2009) を読了。
いちおうは、面白かった、といっておこう (たとえば川端康成が変態小説作家の1人とされてたりする)。
別に著者の見方に同感しなければならないということはないわけだし。
終わりの方の 「雑談」 に 「推理小説」 という名称が初めて用いられたのは昭和21年だとある。
つまり、戦後だ。
それ以前は 「探偵小説」 と呼ばれていたのである。
名称が変更された理由は、「当用漢字表」 (昭和21年) の中に 「偵」 という漢字がなかったから。
そりゃ、小説の中で 「明知小五郎探偵」 でなくて 「明知小五郎探てい」 と記されていたら、間が抜けた感じがするわいな。
そして、「探偵小説」 という小説の分野の名称も変更を余儀なくされたのだろう。
しかし 「探偵小説」 が 「推理小説」 になったおかげで、「探偵」 は登場しない 「推理小説」 が書かれるようになったのではあるまいか。
今日では 「常用漢字表」 にとらわれる必要がないのだけれど。