山田風太郎の『警視庁草紙』を、毎晩、寝床で読んでいる。
「人も獣も天地の虫」の章に
元は安旗本だが、よくいえば活気横溢、わるくいえば狂暴無残のあばれん坊で、よからぬ仲間を集めてその首魁となり、雲霧お辰という吉原の女郎あがりの妖婦を妾、幕末の世の乱れに乗じて、殺人、強姦、放火、強盗と悪行のかぎりをつくした。
という人物が出てくる。
その人物そのものは、山田風太郎が作り上げた人物ではなくて、実在したようだ。
名は 青木弥太郎 といい、コトバンク の [青木弥太郎] に
幕府の旗本。武田耕雲斎の一族武田伊織と称し,尽忠報国をとなえ江戸で強盗をはたらく
などと紹介されている。
一度は捕縛されたのだが、明治元年に大赦で釈放されたとのこと。河竹黙阿弥の芝居のモデルにもなったらしい。
フィクションなのに、作中にそんな人物がひょいと登場したりする。
東京の密淫売の取り締まりがからむ事件なのだが、明治政府が違法売春の取り締まりに手をつけたのは、マリア・ルーズ号事件がきっかけであったことは作中に言及されているとおりだ。
まだ旧幕時代の伝馬町の大牢が残っており、捕縛された女たちがそこに放り込まれたが、旧幕時代には同心だった千羽兵四郎(これはさすがに架空の人物)が、女房に頼み込まれて、何人かの女を牢から出獄させようとする。
今は次の「幻談大名小路」に移って読んでいる。今夜も寝床で読むつもり。
