作中人物の妊娠に仰天す

立て続けに2冊読了。

 

1冊は、荒俣宏日本仰天起源』 (集英社文庫、1994 【荒俣宏コレクション】

 

もう1冊は Iris Murdoch: The Italian Girl Penguin, 1980 [1964]

 

荒俣宏の著作を読んだのは、これが初めてだったかもしれない。その博学多識に舌を巻く。

 

Murdoch の方は、読みかけだったもの。荒俣宏の方を通読したので、こちらに移って、とにかくこれも通読を終えた。

 

荒俣宏の本は、いろいろな文章が入っており、読むのも大変だった。ほぼ2週間近くも費やした。

 

Murdoch の方は、何しろこちらの読解力が追いつかないのだから、開き直りで、とにかく通読することが目標だった。

 

Murdoch の小説は、過去に翻訳で何作かは読んだことがあった。

 

いろいろな人物が出てくるので、人名がきちんと覚えられず、しかもカタカナなので、なおさら覚えられない。そんな印象があった。

 

The Italian Girl の方は、ある屋敷が舞台であるし、登場人物もせいぜい6人くらいだったか。これくらいなら、何とかなる。

 

Murdoch の小説は、人間関係がややこしい。それにヒネリが加わるのだから、なおのことややこしい。

 

『妊娠小説』 という変なタイトルの本を書いたのは、斎藤美奈子 (まだ、読んだことはないけれど)。

 

ふと、そのタイトルを思い出した。The Italian Girl の中で、妊娠する女性が2名。妊娠させた男は同じ人物。そして、女性の方は、母と娘。

 

片方は中絶し、他方は喜々として出産する意思を持っている。

 

そういえば、同じ Murdoch の The Book and the Brotherhod でも、妊娠して中絶した女の子がいたな。

 

この小説で、それぞれの人物が大変な試練に出会うようなものだけど、けれど、最終的には、それらは収まるべき安定へと向かう。

 

そして、それらの出来事があったにもかかわらず、本当に問題なのは、1人称で示されている語り手自身であったということになるのが、面白い。