最近読み終えた本

大塚ひかり 『うん古典 -- うんこで読み解く日本の歴史』 (新潮社、2021)

・近藤伸二 『彭明敏 -- 蒋介石と闘った台湾人』 (白水社、2021)

 

後者はよく書けている。さすがに、もと新聞社の人間だけのことはある。

関係者へのインタビューを重ねているし、現地へも足を運んでいる。

学者とか、そういった人の書いたものとはそこが違う。

 

2・28事件については、聞いたことはある気がしたが、2万人もの台湾の人が殺害され、蒋介石 (政権) の独裁下で、戒厳令がしかれ、政権に批判的な言動をした人は、民間の密告システムのせいもあって、逮捕され拷問を受け、犯罪者でもないのに長期の懲役刑に処せられたり、死刑 (銃殺刑) にされたりしたという事実が、生々しい。

 

巻末に 「台湾人民自救運動宣言」 の日本語訳が付してあるが、それを読むと、要点が押さえられた文書であることが分かる。同時に、政権側がこれを頒布することを認めるわけがないとも思った。いかにも背後に支持組織があるようにも読める。

 

 

前者の本は、これは冗談みたいな本なのかと思って読み始めたのだが、案外とまじめな本だった。

 

ただし、新潮社というメジャーな出版社の本としては、もう少しきちんとした形にできなかったものかという不満は残る。

 

近藤伸二さんの本の方は、さすが白水社の本だと感心する出来栄え。

 

誤植については、近藤さんの本の場合は232ページの最終行の 「習平」 という誤表示 (正しくは 「習平」) にのけぞったものの、他に気づいたところはない。巻末の出典や注から何から、本としての体裁がきちんとしている。

 

大塚さんの本の場合、メモは取ってないので、きちんとした指摘はできないのだが、おかしな部分が複数見受けられた。書物として出すからには、レイアウトを含めて、もう少しちゃんとしたものにしたらどうなのだろう。まぁ、おおむね面白く書かれてはいるが。

 

 

 

 

 

 

近藤さんの本を読み終えたから読み始めているのが山田正紀 『開城賭博』 (光文社、2021)。SF作家として名前だけは知っていたが、作品を読むのは初めて。しかも、SFではなくて歴史的なもの。これが、意外にも面白い。

 

 

 

開城賭博