まだ1/3も読んだか読まないかくらいだが、何だか不思議な小説だとは感じる。
エーネ・リール 『樹脂』 (早川ポケット・ミステリ・ブック) のことだ。
「これって、犯罪小説?」 という疑問が湧かないでもないが、殺人が出てはくる。
とにかく Glass Key という、スリラーや犯罪小説に対する北欧の権威ある賞などを受賞した作品だから、その手の作品と思って読み始めるではないか。
ところが、読み始めてみると 「ん?」 となる。
『樹脂』 という小説は、そもそもスリラーとして書かれたものではなく、「純粋に文学作品として書かれた」 ものであるそうだ (→ Ane Riel: Resin)。
そうかもしれない。スリラーだったら、こんな回りくどい書き方はしなかったかもしれないだろう。娘や母や、父や祖母や、それぞれの視点があり、時間軸もまっすぐではない。
ロブ=グリエの 『消しゴム』 を犯罪小説とか何とかに分類したらおかしいようなものだろう。
でも早川書房のポケミスに入ってたからこそ、手に取ってみたわけで、そうでなかったら、果たして読もうと思ったかどうか分からない。