日が空いてしまったので、そろそろ何か書いておかねばならんかなぁと思うが、取り立てて書くべきこともなし。
読み終えた本が1冊ある。下の本だ。
興味深い本であったが、ここでは立ち入るまい。
続いて読み始めたのが、下に貼りつけた本。
これは 「耳の物語」 と題された自伝的な作品の後半部分にあたる。
前半は以前読んだことがあるが、続けてこちらを読むはずが、そのままになっていた。
人物名が実名で出てきたりする。
これは読み始めたばかりであるが、何とか読み通せたらいいなと思っている。
ここでは、やはり内容には立ち入らずに、ある言葉を取り上げてみる。
岩波文庫版の35ページに、こんな文があった、
ただの酒店の善良で小心な店主とかいなでに話しあっただけなのにどうしてそれほどくたくたになってしまうのか、説明のしようがないのだが、シーツのなかに手と足をのばすと、血管にさざ波をたてて歓びが走ってひろがっていくのをおぼえ、眼があたたかくとけてくれる。
ちょっと特徴のある文体ではなかろうか。
わりと長めの文だし、普通なら (そして語彙豊富な開高健であれば) ふんだんに漢字で表記してもいい部分が仮名書きになっている。
仮名が多い文にすると、肉体の感覚を表現するのにふさわしいと考えたのかもしれない。
それと、特にこの文を引用したのは、この中に 「かいなでに」 という語が入っていたからである。
一読して分からず、もう一度、どこからどこまでが1つの単語なのであろうかと読み返した。
そしてどうやら 「かいなでに」 という語であると分かったものの、これまでにそんな言葉を見たことも聞いたこともない。
ネットの国語辞典を見ると、「表面的に」 とか 「通り一遍に」 とかいった定義が出ていて、それで意味が分かった。
漢字混じりで表記すれば 「搔い撫でに」 となる。
表面を掻く・撫でるということから派生した意味らしい。
日本語の単語を1つ覚えたような気持になった。