森毅 『魔術から数学へ』 (講談社学術文庫、1998 [12刷]) の第2章 「魔術師たちのルネッサンス」 に次の文がある、
ルネッサンスとか宗教改革とか、プラトン主義とかキリスト教とか、そうしたことばで整理して、この時代にわかったようなイメージを持つのだけは、やめたほうがよいと思う。むしろ知のカーニバル、ヴァルプルギスの夜のような時代なのだ。
それはともかく、上に引用した部分にある 「ヴァルプルギスの夜」 とは何だ? と思った。
見覚えはあるのだが、何だったろう?
そこで、[ヴァルプルギスの夜 - Wikipedia] を見たら、「あぁ、そうか」 と思い出した。
Walpurgisnacht はドイツ語だが、英語だと Walpurgis Night となる。
春の訪れを告げる5月1日の祝祭で、これは魔女が行うという伝承があり、今日では メーデー の日になった。
森毅先生は、画一的な歴史解釈に難癖をつけているわけだが、ルネサンスなるものを 魔女のサバト みたいなもので、さまざまな要素のゴチャマゼなんだということだろうか。
いろんなものが坩堝の中に放り込まれたような状態、カオスの中から西欧の新しい文明が芽吹いてきたということかもしれない。
何気なく書かれているのだが、画一主義的な、紋切り型の説明を、糞くらえとばかりに蹴散らすようで気持ちがいい。