古書店主の逆襲

しばらく前に門井慶喜 『定価のない本』 (東京創元社、2019) を読んだ。

 

まぁ、面白くはあった。

 

ただ、プロローグやエピローグは余計。本体だけでいい。

 

それと、蘊蓄がやや鼻につく。

 

エンタテインメントとして書かれたものなら、蘊蓄はもっと抑えるべきだろう。

 

徳富蘇峰とか太宰治という実在した人物を登場させるのはいかがなものか。

 

そんな真似をしなくても現実味は出せたのではあるまいか。

 

 

謎解きの興味は削がれる。何しろ、主人公が突然にひらめいてしまうのだから。

 

それでも興に引かれて読ませるのはお見事。

 

 

死んだ古本屋主人の死が、自ら企んだものであったのなら、あの壁の穴は何だったのか。説明されてたかどうか、思い出せない。

 

古書店の主人が米軍の将校と英語で会話するんだから、恐れ入る。

 

 

降り注ぐ書物によって死んだなんてのは、中島敦の 「文字禍」 を思い出させる。

 

GHQ の何とかいう 「測量部」 の将校は、ウィロビーだったか、あの男のイメージで創作したのだろう。

 

そういえば GHQ に 「民政局」 なんてのがあったな。日本での謀略 (松川事件など) に関係してたんだっけな?

 

 

タイトルは 「神保長の逆襲」 みたいなのでもよかったのではなかろうか。