過去の読了書記録から (6) - 2005年7月~12月

またまた久しぶりにこのリストを出してみる。まだ2005年かぁ、と思ってしまう。このリストを眺めてみて、読んだという記憶があるのとないのとある。私は、読んでしまえば内容は忘れてしまうみたいだ。それなら、何のために読書などしているのだということになるが、別にお勉強のためでないのだから、これはこれでいいのだと思うことにしている。ここに出ている書籍の大部分は市の図書館から貸し出しを受けて読んだものだが、中には自分の蔵書もある。

 

 

2005/07/01 コリン・ビーヴァン 指紋を発見した男 [ヘンリー・フォールズと犯罪科学捜査の夜明け] 茂木健・訳 主婦の友社、2005  
2005/07/10 John Grisham The Firm Bantam Dell, 1993
2005/07/12 チャック・パラニューク ララバイ 池田真紀子・訳 早川書房、2005 
2005/07/14 アミール・アクゼル 偶然の確率 高橋早苗・訳 アーチストハウス、 2005 
2005/07/21 ポール・ホフマン 放浪の天才数学者エルデシュ 平石律子・訳 草思社 2000 
2005/07/24 James Patterson Four Blind Mice
2005/07/27 星亮一 幕末史 激闘! 薩摩・長州・会津 三修社、2004
2005/08/04 Lawrence Block Small Town HarperTorch, 2003
2005/08/10 黒田龍之助 その他の外国語 現代書館、2005
2005/08/11 関裕二 おとぎ話に隠された日本のはじまり PHP、2005
2005/08/23 R.F. ジョンストン 紫禁城の黄昏 岩波書店、2005 (31刷)
2005/08/25 東海林さだお ヘンな事ばかり考える男 ヘンな事は考えない女 文藝春秋、2002
2005/08/26 田村隆一 自伝からはじまる70章 思潮社、2005
2005/08/27 夏目房之助 古典教養そこつ講座 文藝春秋、1994
2005/09/01 井口富夫 会津と長州と MBC21、2000
2005/09/03 中野美代子 砂漠に埋もれた文字 [パスパ文字の話]
2005/09/07 石原藤夫 ニュートンアインシュタイン
2005/09/08 渡部昇一 英語の語源
2005/09/08 Agatha Christie The Mysterious Affair at Styles HarperCollins, 2001
2005/09/14 伊達一啓 バカになりきれる人はどんな壁も突破する 日本文芸社
2005/09/14 小田島雄志 シェイクスピアの)遊びの流儀 講談社、2005
2005/09/15; 副島隆彦 属国・日本論 五月書房、1997
2005/09/22 ジェームス三木 ドクトル長英 NHK出版、2004
2005/09/24 梯久美子 散るぞ悲しき 新潮社、2005
2005/10/04 Jonathan Kellerman A Cold Heart A Ballantine Book, 2003
2005/10/06 逢坂剛 メディア決闘録ファイル 小学館、2000
2005/10/08 伴野朗 反骨列伝 PHP研究所、1996
2005/10/17 Jonathan Kellerman Flesh and Blood Ballantine Books, 2002
2005/10/21 ロバート・ホワイティング 東京アンダーワールド 松井みどり・訳 角川書店、2000
2005/10/23 吉行淳之介 贋食物誌 新潮社、1976
2005/10/26 中園英助 私本GHQ占領秘史
2005/10/30 Sophie Kinsella Confessions of a Shopaholic Dell Book, 2003
2005/11/03 副島隆彦 日本の秘密 弓立社、1999
2005/11/04 小坂洋右 破壊者のトラウマ [原爆科学者とパイロットの数奇な運命] 未来社、2005
2005/11/04 中野美代子 西遊記の秘密
2005/11/05 嵐山光三郎 退歩的文化人のススメ 新講社、2004
2005/11/12 青木直人 田中角栄毛沢東 [日中外交暗闘の30年] 講談社、2002
2005/11/15 D.H.クラーク/S.P.H.クラーク 専制君主ニュートン  (抑圧された科学的発見) 岩波書店、2002
2005/12/07 セアラ・フラナリー/デイヴィッド・フラナリー 16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号 亀井よし子・訳 日本放送出版協会、2001
2005/12/15 群ようこ 贅沢貧乏のマリア 角川書店、1996

 

 

最近読み終えた本

大塚ひかり 『うん古典 -- うんこで読み解く日本の歴史』 (新潮社、2021)

・近藤伸二 『彭明敏 -- 蒋介石と闘った台湾人』 (白水社、2021)

 

後者はよく書けている。さすがに、もと新聞社の人間だけのことはある。

関係者へのインタビューを重ねているし、現地へも足を運んでいる。

学者とか、そういった人の書いたものとはそこが違う。

 

2・28事件については、聞いたことはある気がしたが、2万人もの台湾の人が殺害され、蒋介石 (政権) の独裁下で、戒厳令がしかれ、政権に批判的な言動をした人は、民間の密告システムのせいもあって、逮捕され拷問を受け、犯罪者でもないのに長期の懲役刑に処せられたり、死刑 (銃殺刑) にされたりしたという事実が、生々しい。

 

巻末に 「台湾人民自救運動宣言」 の日本語訳が付してあるが、それを読むと、要点が押さえられた文書であることが分かる。同時に、政権側がこれを頒布することを認めるわけがないとも思った。いかにも背後に支持組織があるようにも読める。

 

 

前者の本は、これは冗談みたいな本なのかと思って読み始めたのだが、案外とまじめな本だった。

 

ただし、新潮社というメジャーな出版社の本としては、もう少しきちんとした形にできなかったものかという不満は残る。

 

近藤伸二さんの本の方は、さすが白水社の本だと感心する出来栄え。

 

誤植については、近藤さんの本の場合は232ページの最終行の 「習平」 という誤表示 (正しくは 「習平」) にのけぞったものの、他に気づいたところはない。巻末の出典や注から何から、本としての体裁がきちんとしている。

 

大塚さんの本の場合、メモは取ってないので、きちんとした指摘はできないのだが、おかしな部分が複数見受けられた。書物として出すからには、レイアウトを含めて、もう少しちゃんとしたものにしたらどうなのだろう。まぁ、おおむね面白く書かれてはいるが。

 

 

 

 

 

 

近藤さんの本を読み終えたから読み始めているのが山田正紀 『開城賭博』 (光文社、2021)。SF作家として名前だけは知っていたが、作品を読むのは初めて。しかも、SFではなくて歴史的なもの。これが、意外にも面白い。

 

 

 

開城賭博

 

もののほん

橋口候之介 『江戸の本屋と本づくり 【続】和本入門』 (平凡社ライブラリー、2011) を読んでたら、

 

 十七世紀まで硬派の書物を「物之本」といって、「書物屋」とか「物之本屋」と呼ばれた店が取り扱った。

 

という文に出会った。

 

それを読んだ時に、柳瀬尚紀『辞書はジョイスフル』 (新潮文庫、1996) の中で、中学生の頃の著者が「ものの本」とはどんな本だろうかと疑問を抱いて辞書を引いて調べてみたという話があったのを思い出した。

 

「ものの本」とは、小説やエッセイなどと違い、ある分野における特定のものごとに関して書かれた本、専門書のようなものだといえようか。

 

ただそれだけのことだが、漠然と「ものの本」という言葉だけは知っていただけの状態から、少し知識が増えた気がした。

 

 

前回言及した紀蔚然の 『台北プライベートアイ』のことだが、あれは結局は通読できないままで返却してしまった。

 

残り数十ページくらいだったと思うが、時間切れとなったのだ。改めて借りてきて、最後まで読み通してしまいたいとは思っている。

 

最近、本を読むスピードが非常に遅くなった。風呂に入って寝床に入ってからが読書時間ということがほとんどで、眠くなったらそこで打ち切りという読み方だから、それで遅いということもあろう。しかし、年齢的なものもあるのかもしれない。

 

 

 

 

 

返却期限切れ近し

まじめなブログにしようと思ってたのに、やはり、どうも、地が出てしまうのは仕方ないか。

 

紀蔚然 (キ・ウツゼン) の 『台北プライベートアイ』 (文藝春秋、2021) を、まだ読み終えられない。

 

もっと易々と通読してしまえると踏んでいたのだが、当てが外れた。

 

仕方がない、今夜も、せいぜい頑張って読もう。

 

もちろん、途中で諦めてしまう気はない。今日、明日でだめなら、延長だ。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、上に貼りつけたものには e-book とあるが、私の読んでいるのはペーパー版、紙の本である。

 

日本語について考えてみたり

 おれは本を読んでも、読んだとたんに忘れてしまうし、ひどいときには作者の名前も、本のタイトルも覚えていないくらいだ

 -- 紀蔚然 (キ・ウツゼン) 『台北プライベートアイ』(舩山むつみ・訳、文藝春秋、2021

 

そんなわけで、最近読んだ (読み終えた) 本の書名くらいは記録しておこうか。

 

 加賀野井秀一 『日本語を叱る!』 (ちくま新書、2006)

 [李漁] 『完訳 肉蒲団』 (伏見沖敬・訳、平凡社ライブラリー、2010)

 武田砂鉄 『わかりやすさの罪』 (朝日新聞出版、2020)

 

「記録」 としては、別にファイルを作って記録してはいるが、こういうブログを書いてるのだから、公開してもよかろう。

 

で、先日、市の図書館をうろついてたら、今野真二 『うつりゆく日本語をよむ』 (岩波新書、2021) というのを見て借りてきた。

 

著者名に何だか見覚えがある気がして、わが読了本の記録を見たら、つい先日 『超明解! 国語辞典』 という文春新書を読んでいた。

 

あれは、組み方などからして読みにくくて分かりにくい気がしたのだが、こちらの岩波新書の方は、あれに比べると読みやすいし、そのせいか、文意を追って読むのもさほどむずかしくは感じない。

 

半分くらいは読んだから、あと半分。

 

加賀野井秀一 『日本語を叱る!』 はかなり明解だったが、こちらはちょっと視点が異なるかもしれない。

 

けれど、重なり合う面もある。それに加えて武田砂鉄 『わかりやすさの罪』 である。

 

それぞれが違うようで、どこか通底する面があるような気がしてしまう。

 

「わかりやすさ」 を狙っているようで、実は 『わかりやすさの罪』 で指摘されたような誘導がなされている疑いがあったりする。

 

それは、どれだけ意図されたものか分からない。『日本語を叱る!』 で指摘されたように、日本語という言語の構造が影響しているかもしれないし、『うつりゆく日本語をよむ』 の副題が 「日本語が壊れる前に」 であるように、日本語そのものが自己崩壊に向っているのかもしれない。

 

今野は言語を 「器」 だとする。思想も思考も、その器に盛ることで具体的な形を持つようになる。

 

ところが、その器の形そのものが崩れてくると、その中身までもが歪 (いびつ) なものになりかねない。

 

ちょっと怖いことだ。

 

 

 

 

 

* そうそう、前々回に末尾に追加して記した 神永曉 『悩ましい国語辞典』 (角川ソフィア文庫、2019) のことだけど、見つかった。何と、購入した書店が付けてくれたカバーを付けた状態のままだったので、書名も何も見えなかったのだ。面白い読み物ではあるが、ネットで公開されているものでもある。『さらに悩ましい国語辞典』 (角川ソフィア文庫) も出ているが、図書館には単行本があった。買うべきかどうか、「悩ましい」 ところだ。たぶん、しばらくは放置かも。

 

わかりやすさで叱られて

意味不明なタイトルをつけてみた。

 

書こう書こうと思ってても、つい面倒になる。もう、内容など支離滅裂でもいいから、とにかく書き始めてしまうこと、そんな書き方しかできない私である。

 

最近読み終えた本:

 

 ・加賀野井秀一 『日本語を叱る!』 (ちくま新書、2006)

 ・伏見沖敬・訳 『完訳 肉蒲団』 (平凡社ライブラリ、2010)

 

読んでる時にはいろいろ考えたりしてるはずなのだが、読み終えてしまい、また別の本を読み始めていたりすると、その時に考えたり感じたりしてたことなど、じきに分からなくなる。

 

ま、私の場合は、それはそれで構わないのだけれど。

 

だって、読んだ内容がすっかり頭の中に入るというわけでなし、どうせ忘れてしまうんだもの。読んでるという感覚を楽しんでるといったのが、私の 読書 なので、あまり ためになる 読書というものではない。

 

それはそうとして、『日本語を叱る!』 は、なかなか ためになった という気がする。

 

タイトルはふざけているように見えるが、中身はまともなもの。日本語の特性を明瞭に示してくれる。

 

膠着語という特性が、外来の言葉を何でも取り込む傾向を生んだ。漢語しかりカタカナ語しかり。いや、もっと広い意味においても。

 

実例を示されると、なるほどと思う。本当には分かってないくせに、何となく分かったような気がするだけで使っている単語や表現なんて、いくらでもある。

 

そのことに気づかせてくれたというだけでも、一読した価値はあったように思う。

 

 

『肉蒲団』 の方は、中国清代に書かれた小説で、作者は不明だが、おそらく李漁 (リギョ) という人の作なのではあるまいかと言われる。

 

内容は、まぁ、好色小説といえばそうだ。ただ、主人公は最後は仏門に帰依するのである。

 

タイトルに 「完訳」 とあるが、実際には本文を忠実に和訳したものではなさそうだ。おそらく全体を訳してはいるが、部分描写などは簡略化したりなどしているのではないかと思われる。それはそれで問題ないとは思うけれど。

 

こちらは微に入り細を穿つような描写を期待しているわけではないから。いや、なかなか面白い訳になってると思う。

 

いちいち示さないが、原文の漢字表記に日本語を当てたものもあるし、漢字のままなのもあるし、しかしいずれも意味は推測に頼らざるを得なかったりする。

 

下手に伏字にするより、その方が面白い。

 

 

もう少しきちんと書くつもりだったが、今は別な本を読んでるので、いい加減な書き方になる。

 

今回の私のブログ記事タイトルは、1つには 『日本語を叱る!』 に由来するのだが、「わかりやすさ」 の方は、現在読んでいる武田砂鉄 『わかりやすさの罪』 (朝日新聞出版、2020) からもってきた。我ながらわけの分からんタイトルだなぁと思う。

 

他人が何を考えているのか、頭の中をのぞくわけにはいかないので分からない。そもそも、自分が何を考えているのやら、それだって確かではないのだから。それなら、あまり身構えても仕方がない。とにかく書いてみる。そこから始まるのではないか。そんな気持ちである。

 

 

 

 

 

噂を売る

奇妙なタイトルだと思ったが、試しに借りてきて読んでみた。

 

 梶よう子 『噂を売る男 藤岡屋由蔵PHP、2021)

 

実を申せば、「群ようこが書いた時代劇? そりゃ珍しいや」 と思って借りてみたのである。

 

帰ってからよくよく見れば、群ようこ ではなくて 梶よう子 だった (笑)。

 

 

シーボルト事件にかかわっていく由蔵。

 

その小説を書くにあたって参考資料とした文献が巻末に示してあり、初めに 「藤岡屋日記」 とある。

 

じゃあ、そういう 「日記」 が、本当に存在したのだ。

 

 

著者名の勘違いということがあったが、もう1つ面白いことがある。

 

通読できるかどうか分からないが、やはり借りている本に

 

 西脇康 『幕末大江戸のおまわりさん 史料が語る新徴組 (文学通信、2021)

 

という新書版の本がある。

 

その初めにある 「史料の出典について」 という部分に

 

 本書でもっとも登場頻度が高い史料は、・・・ 通称 「藤岡屋日記」 である。

 

とあった。

 

アリャリャ、意図せざりし選択だったのに、2冊の本が 「藤岡屋日記」 で通じているではないか。

 

そういう 偶然 というのも面白い。

 

 

ほぼ同時に読み終えた本がもう1冊。

 

 今野真二 『超明解! 国語辞典』 (文春文庫、2015)

 

正直なところ、読みやすく読めるような工夫がなされているとは思えなかったが、この手のものには興味を覚えてしまう。

 

とにかく通読を完了。『噂を売る男』 の方は、まぁ楽しんで読んだというだけのことだが、こちらはいつか再読することがないともいえない。

 

 

今のところはそんな具合。

 

『幕末大江戸のおまわりさん』 もできれば通読したいものだと思っているが、他にも

 

 完訳 肉蒲団』 (伏見沖敬・訳)(平凡社ライブラリー、2010)

 

も借りてきているので、こちらも出来れば通読してしまいたい。

 

寝床の中での、睡眠に落ちる前の読書とはいえ、なかなか忙しい。

 

 

 

 

 

 

『噂を売る男』 の末尾に参考文献が出ているのだが、アレは入ってないんだな、と思った。

 

その アレ が、何という題名の本だったかは思い出せない。

 

本を詰め込んだ段ボールの中に潜んでいる可能性はあると思うのだが、シーボルト事件を扱ったものだったとは思う。

 

著者はオランダのシーボルト記念館みたいなところの学芸員みたいな人だったかもしれない。

 

たしか、そこには日本地図があって、それは伊能忠孝の地図を写したものらしいというのではなかったろうか。相当に昔に読んだきりなので記憶が定かではないけれど。

 

いつか引っ張り出せたら再読してみるかも。

 

 

それから、『超明解! 国語辞典』 に通じないわけでもない本で、神永曉 『悩ましい国語辞典』 (角川ソフィア文庫、2019) を、私の記録によると2019年に購入しているはずなのだが、それが探しても見当たらない。

続編ともいうべき本が出ているので、まず最初のものを再読しておこうかと思って探したのだが、見当たらない。どこかにあるはずなのだが ・・・